[最終更新日]2010/03/26(金曜)
【第1回】 情報:言葉の壁が生むクラウドへの誤解
クラウド・クラウド編集長:江戸達博
優秀な”先生”を選んでいますか?

子ども─言葉を獲得するとき、
私たちは何でもそのまま吸収する
「『クラウド』ってなぁに?」
あなたはITの専門家として、知り合いや家族に、聞かれたことがあるのではないでしょうか。
「クラウド」という言葉は、誰かが定義をしているわけでもなく、百者百様の答えがあるのが現状だと思います。では、その答えを構成している情報のソース。一体なんだったか覚えていますか?
私たちは、何かを初めて学ぶとき、優秀な先生探しに労を惜しみません。仕事で新しいジャンルに取り組むとき、私たちはアマゾンのレビューを何十件と読み、総合的な★の数の妥当性を確認してから、レジへ進みます。資格を取得したいと思ったら、私たちは合格者を捕まえて、その人の本棚を、事細かにリサーチします。では、「クラウド」に関しての先生探しはどうでしたか?
「クラウド」に関しても、情報のソースは、慎重に選ばなければなりません。なぜなら、日本でクラウドの本質的な議論を展開している人は、まだ残念ながら少ないからです。言葉の壁から、間違った理解をしてしまっているケースすら見受けられます。ITの未来を左右する一大テーマ。あなたは正しく理解できているでしょうか。
「クラウド=仮想化」はウソ

MapReduce
Googleで採用している分散処理の仕組み
引用:「Amazon Web Service Blog」
たとえば、「クラウド=仮想化」。日本で一般的なこの図式も、本当に事実か、疑う余地があります。
クラウドコンピューティングサービスの代表的なプロバイダーといえば、みなさんもご存知の通りAmazonとGoogleです。世界に点在するデータセンターで、何百万台というサーバーを稼働させて、大規模な「クラウド」環境を実現しています。
その「クラウド」を作り出すための技術的なアプローチが、実はそれぞれ異なっています。Amazonは各サーバーを仮想化させ、複数台を1つのシステムに仕上げています。一方のGoogleは、各サーバーに処理を分散させ、複数台を1つのシステムに仕上げています。すなわち、Googleのクラウドは仮想化していないのです(脚注)。安価な自作PCを量産し、分散処理を組み合わせて、ここまで大きくなったのがGoogleという存在です。そこに仮想化技術は必ずしも貢献をしていません。
クラウドの二大巨頭の1つが仮想化を採用していないのだから、クラウドと仮想化を「=」で結びつけるのは少々短絡的と言えるでしょう。「クラウド」は概念的なアプローチ、「仮想化」は技術的な手法。そもそも、議論のレイヤーが、少し違うのです。
原文を読みこなそう

右上ではなく、左上をクリックする勇気
「クラウド=仮想化」。あなたはいつこの図式をインプットしたのでしょうか。新しい技術をキャッチアップしている同僚でしょうか。クラウドに熱心なベンダーのホワイトペーパーでしょうか。その言葉は少なくとも、英語ではなかったはずです。
クラウド時代、情報のソースは、臆せず海外に求める必要があります。ITの産地は、今も昔も米国。正確で、本質的な情報に触れられる確率が高いのです。IT業界では以前からの鉄則かもしれませんが、グローバリゼーションが一層進展するクラウド時代には、ことさら問われることになるでしょう。実際に私が仕事で調べものをするときは、結果的にほとんど英語のサイトになっています。たまに日本語のサイトを参照すると、その情報量、その情報の質に愕然とすることすらあります。
新しい言葉に出くわしたとき、それを本質から理解したいと思うなら、私がおすすめしている情報ソースはWikipedeia。もちろん英語版です。試しに、wikipediaの言語を英語にして「cloud computing」を検索してみてください。少なくとも日本語のページよりはたくさんの本質的な情報が手に入ると思います。
次回はクラウドを扱う際に問われる「センス」についてお話しします。
- 【第2回】 センス
振り返り
トレーニング
英語版wikipediaで「cloud computing」を検索してみましょう。
- あなたの「クラウド像」との差異はありますか?
脚注
- Googleが2007年時点で仮想化を採用していないことを、同社エンジニアのAndre Barroso氏が語っています。
参考文献
- Wikipedia(英語)
http://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page
関連記事
- 第1回:日本版と違う?英語版Wikipediaの「クラウド」の定義)
http://en.wikipedia.org/wiki/Main_Page








