[最終更新日]2010/09/08(水曜)
【第3回】 地域と言語─クラウド・クラウド編集長 江戸達博
後回し第1位は?

黒船襲来
待ったなしでペリーは現れる
「うすうすわかってるけど、まぁいいや。」
で、後回しにしちゃうことって、結構ありますよね。
「免許の更新」はがきが来てもまぁ、2週間くらい放っておくのは私だけでしょうか。
「ダイエット」健康診断の前日だけ、激しく後悔します。
「夏休みの宿題」大学生のみなさん、そろそろ新学期ですよ。ちなみに私は、24時間テレビで、サライが流れる頃に意識しだしていましたね(笑)(*1) 今年は28,29日でしたから、高校生ならアウトでした、危ない危ない。
ほら、また「いいや」、と目をつぶったもの、ありませんか?そうです!「英語」です!本屋にいけば、英語教材が溢れ(デモ販の女性までいますよね!)、電車に乗れば英語学校の広告が目につき。学校、親、上司にはプレッシャーをかけられ。友達が英語がしゃべれるとわかると、なんとなく焦ってしまい。
なのに、英語ができなくても、日々の生活には支障がない。なんなんでしょうね。私たちエンジニアは英語より、Java言語のほうがお金になるわけです。
しかし、ITエンジニア(とその卵)のみなさんは、いよいよ四面楚歌になってきました。それは「クラウド」です。クラウドの襲来により、すでに英語は当たり前、今年の年末頃になれば、エンジニアとして埋もれてしまう可能性があります。
日本では、これまで英語はインセンティブ的な扱いでした。「○○くん、英語できるんだね」ちょっと鼻高々な、アドバンテージです。
しかし、クラウドは「黒船」って表現もあるくらいで、江戸時代に突然黒船が来た状態と同じです。英語が使えない人はITから引退しなければならない。いわば英語を扱うということは、自分のちょんまげを切り落とせるかどうかに等しいかと思います。
どういうことかというと、クラウドのターゲットは、もはや地球上のあらゆる地域。クラウドとは、ITリソースを、地球上のあらゆる地域から手に入れるということです。
一攫千金も英語ができないと…

ビジネスチャンス
英語が使えなければ手にできない
クラウド以前は、システムを組もうと思ったら、サーバー実物を調達します。日本の販売店と、外国の販売店、どこから買っても同じものです。あたりまえだけど、日本語が通じるし、日本の商習慣だし、日本の販売店から買うのが当然でした。
しかし、クラウドでは、日本のクラウドサービスと、外国のクラウドサービスが提供するものが全く違います。提供されるリソースの容量、データの速度、機能、サポート体制、SLA etc.どれもこれもが違うので、日本・外国をひっくるめて選定にあたらなければなりません。
分かりやすい例が、Amazon EC2です。数日前まで、サイトは申込も管理画面も全部英語でした。だから、英語が読めなくちゃ、使えなかった。EC2には、クラウドのリーダー企業として、"ならでは"のサービス、品質、料金体系があります。英語が読めないだけで無条件に選定表から外れてしまう。これはビジネス上、大きな損失です。
損失なんですよ、だって、ソーシャルアプリ。素人でもプログラミングができて、ヒットすれば億の収益が得られる。ご存知、一攫千金のビジネスです。2009年の出始めの頃、個人やスタートアップ企業が使えるインフラとしては、EC2くらいでした。英語が読めずにEC2が申し込めないと、このビジネスチャンスをみすみす逃すことになるのです。
逆もまたしかりで、自分がサービス提供者として働くには、世界を舞台に、英語でサービス提供しなければ、お客様がつかないのです。だって、日本のお客様は海外のサービスも使っているのですから日本の見込み顧客の母数が減っています。海外のお客様を追わなければ補えません。
クラウドの時代には、英語を扱える、受け入れられることが必須であることがおわかりいただけたでしょうか?
5人のうち、4人があぶれる

優秀な外国のエンジニア
あなたは、彼らに勝てるか?
「ならば、英語ができる仲間を見つけて、都度お願いすればいいんじゃないの?」
いやいや、そんな悠長なことは言ってられません。管理画面も英語なんです。メールや電話のサポート、マニュアルなんかも英語なんです。日本にいても、仕事に関わる言葉の多くが、英語になってくるわけです。いちいち仲間を呼んでたら、仕事が遅くて仕方がない。周囲だっていらいらします。「ツカエナイ」って悲しい評価になっていまいます。
一方、海外の大学生は、英語で授業を受けているので、英語は普通に使えます。すると、英語が使えないエンジニアは、もはやITの仕事が手に入らなくなってくる…これはほぼ確実と言ってもいいでしょう。
事実として、日本語しか使えない日本の学生より、英語が使えるアジアの学生の方が、安い賃金で働いてくれるわけです。例えば、インドの労働者の初任給(日系企業勤務)。いくらくらいだと思いますか?なんと大卒で4.7万円(*2)。彼らはよく勉強していて、地頭がいい人も多い。ITのスキルやビジネスの能力もある。一方、20万円もらっている、日本の新卒は、4倍の能力があるでしょうか…?もしかしたら、ゆくゆくコストは逆転し、最低レベルの能力の基準が上がってしまうでしょう。
もはや英語が使えない人にはもう超えられないハードルです。このまま行くと新卒どころか多くの日本のエンジニアが路頭に迷う可能性が出てきていて、それを私は危惧しています。まだ全員が安い給与でも雇用されればいいのですが、クラウドでIT業務は自動化が進み、仕事の総量が少なくなる傾向にあります。実際「クラウドで開発期間が1/5に」なんて新聞記事を見たことはないですか?工数で考えれば、この場合、5人のうち、4人が仕事にあぶれたわけです。
日本のエンジニアの将来を危惧しはじめたのは、いくつかの企業で、日本に置いていたITの拠点を海外に移し始めたころからでしょうか。数年前から、アジア地域にデータセンターを立て、拠点をつくっています。そこで活躍するのは現地のエンジニア。日本で日本人を雇用するより、海外で日本語「も」使える人間を採用した方が効率がいい、という判断をしているようです。
仮に、英語がしゃべれなくても初対面で外国人に対して握手が普通にできて、「同僚」「上司」「部下」として普通に認識できるのは、これから伸びるかどうかを図る、重要な態度だと思います。クラウド時代は「外国人」として捉えず、「人」として捉える人材を求めています。
日本には、ものづくりの素晴らしい文化があり、特許の出願は日本が世界2位(「日本人」だと1位)です。日本の先端技術を担うITエンジニアたちに、これからは堂々と世界で活躍してほしいと思います。
振り返り
トレーニング
会社、学校や所属している集まりに、話したことのない外国人がいたら、挨拶をしてみましょう。
注釈
-
私が夏休みの宿題に取り組む 3 step
- 「やろうと思う」:24時間テレビのエンディングでサライが流れ出した瞬間です。
- 「取り掛かる」:8/31の昼からです。
- 「提出する」:2学期の「終業式」の朝です。
- http://blog.livedoor.jp/india_life/archives/50518912.html







